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「流動沙丘を止める−内モンゴルのNGO」
8月19日〜24日に実施された「緑の復興・一週間」の参加メンバー、杉万俊夫京都大学教授による旅行エッセイです。
10年ぶりに訪れた北京の変わり様には驚いた。昨年開港した巨大な空港。立ち並ぶオフィスビルと高層マンション。高速道路、環状道路も建設され、本格的な車社会を迎えつつある。道ばたにうず高く積まれたスイカを買って、その場で割って水がわりにかぶりつく---そんな風景は、もう見られない。7年後のオリンピックに向かって、開発には一層拍車がかかる。
その北京から西に夜行列車で11時間。内モンゴル自治区の都、フフホトに着く。10年前に見た北京の風景に近い市街。しかし、この内陸の都市でも、急速に開発が進みつつある。
フフホトから、でこぼこ道を3時間行くとバイアールイエ沙丘。ここで、1997年以来、エコスタイルネットというNGO(非政府組織)が沙漠化防止に取り組んでいる。中心人物は、私の教え子、増田達志。地球規模の環境(エコ)問題を日常の生活スタイルに引き寄せて考えるネットワークをつくろう---これが活動目的だ。
やせた土地にトウモロコシ、蕎麦、ひまわりなどの畑。当地の8月末は、もう初秋。一日の寒暖の差は大きく、15−30度。しかし、もう一月もたてば、一日の最低気温は零下になる。収穫間近であるはずの作物は、あまりに小さく細い。親指ほどの太さしかないトウモロコシ、丈20cmに満たない蕎麦。それすらまばらな畑は、むき出しの砂で沙漠と見まごうばかりだ。わずかな収穫すら絶望的だろう。こんな旱魃(かんばつ)が、3年間も大地を、人々の生活を蝕み続けている。
やせた山肌に、2000万平方メートルにわたる完全な沙漠が、あたかもゴルフ場のバンカーのように横たわる。その巨大なバンカーは、ゆっくりと移動しながら、面積を増す。これが流動沙丘だ。耕作地の側から見れば、押し寄せる沙漠に耕境が後退する。どうしようもない自然の力のようだが、人間の力によって食い止めることができる。
沙漠化防止といえば緑化、緑化といえば植林を連想する。もちろん、植林は大事だが、意外と忘れられているのが「草を植える」ことだ。草もはえない沙漠を草のはえる土地にする。草がはえれば、風による砂の動きを少なくでき、沙丘の拡大を押さえることができる。何より、草は家畜たちを育て、内モンゴルの風土に根ざした生活を支えてくれる。しかし、そもそも草もはえない砂地にどうやって草を植えるのか。
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